山本瑞樹(やまもと みずき)さん
農園名 | 山本農園 |
栽培品目 | 露地野菜全般 |
大津町の小高い山に囲まれた高尾野地区で、季節のさまざま野菜を作っている山本さんご夫婦。「生活協同組合熊本いのちと土を考える会」の若手生産者です。転勤族のご家族のもとで育った山本さんが有機農業をはじめるまでのいきさつ、現在の農法、将来の夢などを語っていただきました。これから就農を考えている人、必見です!
心も体も疲れたときに出会った有機ホウレンソウ
今年(2020年)で独立して7年目。最近やっと、自分たちでやっていけると思えるようになってきました。ここに至るまでには、本当にいろんなことがあったんですよ。
自分からというより導かれるように農業高校に進学、その後は農学部のある熊本の大学に進みました。大学卒業後は慣行栽培の農家でアルバイトをしていました。でもそれでは食べていけず、期間社員をしたり、牧場で働いたり・・・。生きている意味が分からなくなったこともあり、一時は仕事以外誰とも会わず、食事はコンビニ弁当やカップ麺という生活を送っていましたね(笑)。
心も体も疲れ、病んでいた頃に出会ったのが「熊本いのちと土を考える会」(以下、「考える会」)の生産者である高丸さん。高丸さんのご自宅で食べた有機ホウレンソウが、僕の将来を決めることになりました。
そのホウレンソウは、ただ炒めただけなのに本当に豊かで美味しくて。とにかく、うまい!心をわし掴みにされ、こんな野菜を作りたいと思うようになったんです。
「熊本いのちと土を考える会」へと導かれて
運命に導かれるかのような出会いが重なり、僕は「考える会」に携わることになりました。「考える会」の理事・古庄さんのもとで数年修行し、2013年に独立。マルシェイベントで妻と出会って結婚しました。
古庄さんの畑では何を植えても作物がうまくできたので、自分の畑でもできると思っていたのが最初の数年は散々で。「考える会」に出荷できるものがほとんどないという時期には、古庄さんが助けてくださいました。僕が入院した時には、古庄さんのお声かけで「考える会」の消費者さんも農作業を手伝ってくださいました。
現在は勉強会で学んだ発酵鶏糞を中心に、微生物の多い健康な土作りを行っています。数年前まで硬い土壌だったのに、今は軟らかくて棒も1mくらい刺さるふかふかの土壌になって、野菜もしっかりできるようになってきました。この発酵鶏糞を使うことになったのも偶然の人との出会いからでした。本当に出会いの大切さを痛感しています。
小さなコミュニティこそ今の時代に求められている
人とつながり、導かれて農家となった僕の経験から、人との出会いやコミュニティというのは本当に大切だと感じています。顔が見える関係、小さなコミュニティだからこそできることがたくさんあります。
例えば、熊本地震のときのこと。「考える会」では被災しながらも地震3日後には配送を再開していたんです。僕が入院したときには、生産者や消費者さんたちが援農してくれる。仲間が困っているときにスピーディに駆けつけられるというのは、小さなコミュニティならではだと思います。
誰がつくったのか分からない野菜より、信頼関係で成り立った顔の見える野菜のほうが愛着がわきますよね。地域や目的などをともにした仲間とつながり、支え合うコミュニティ。これこそが、「考える会」が大切にしている『提携』で、いつの時代も求められると思うんです。時代の最先端だと僕たちは考えています。
消費者の台所を支える農家を目指す
目標は師匠である古庄さんを超える農家になることです(笑)。というのは、おこがましいですが、今まで古庄さんをはじめ関わってくださった方々への一番の恩返しは、僕たちが独り立ちして、「考える会」の消費者の台所を支えられる農家になることだと思うんですよね。
近年は天候の変化もあって、野菜の生産には難しいことも多いですが、ベテランの有機農家の方はそれでもちゃんと結果を出し続けています。僕たちも収量・質ともに上げて「考える会」を支えるような生産者になりたいです。そして、「考える会」を次の世代にもつなげていきたいと思っています。
「考える会」に興味を持たれた方は、ぜひ問い合わせして欲しいですね。いろんなイベントもあって楽しいですよ。
「生活協同組合熊本いのちと土を考える会」。熊本県内にお住まいの方を対象に週一回の宅配を行っている。
生活協同組合 熊本いのちと土を考える会
http://syoujiki-yasai.com/kangaeru/